漢方治療エビデンスレポート
日本東洋医学会EBM委員会エビデンスレポート/診療ガイドライン タスクフォース
18.
症状および徴候
文献
常塚宣男. 肺癌術後遷延性咳嗽に対する麦門冬湯の有用性に関する検討. 漢方と免疫・
アレルギー 2008; 22: 43-55. 医中誌 Web ID: 2010145870
常塚宣男. 肺癌術後遷延性咳嗽に対する麦門冬湯の有効性- SF-36v2によるQOL解析 -. Progress in medicine 2010; 30: 100-1.MOL, MOL-Lib
1. 目的
肺癌術後遷延性咳嗽に対する麦門冬湯の咳軽減効果の評価
2. 研究デザイン
ランダム化比較試験 (封筒法) (RCT-envelope)
3. セッティング
病院 1施設 4. 参加者
2005年11月から2007年12月まで、肺癌術後3週間以上の遷延性咳嗽が持続し、明ら
かな呼吸器疾患が認められず、鎮咳剤を使用していない外来患者 32名 5. 介入
投薬は4週間おこなった。
Arm 1: ツムラ麦門冬湯エキス顆粒 9.0 g/日 17名
Arm 2: コントロール群 メジコン90 mg/日またはアストミン60 mg/日 15名
6. 主なアウトカム評価項目
咳の回数、QOLスコア (SF-36v2健康調査票) 7. 主な結果
咳の回数はArm 2では服薬後5日で有意に減少、Arm 1では3日後に有意に減少した
(P<0.05) 。また投薬6日以降観察終了4週間後までArm 1はArm 2に比し咳の頻度は有
意に減少を示した (P<0.05) 。咳嗽改善効果は咳点数についてみると、服用4週間前後 でみると、Arm 1では平均7から3.76に減少し、Arm 2では平均7.2から4.58に減少し
ている。Arm 1の3名は咳が消失した。尚、不応例5名中3名はプロトンポンプ阻害薬
にて改善した。QOLに関しては内服前の状態は国民標準に比較して大きく損なわれて
いた。服薬に伴い、Arm 2は日常役割機能のみの有意な改善であったが、Arm 1では全 体的健康感、日常役割機能、心の健康が有意に改善し、Arm 1はArm 2に比し心の健康 で有意に高値を示した。
8. 結論
肺癌術後遷延性咳嗽に対して、麦門冬湯はメジコン、アストミンに比べ、咳の頻度の みでなく、QOLのmental health項目でも有意に効果が認められる。
9. 漢方的考察
なし
10. 論文中の安全性評価
記載なし
11. Abstractorのコメント
常塚 (2008) は肺癌術後遷延性咳漱に対して麦門冬湯が咳の回数を減少させるだけでな
く,精神的な負担に対しても軽減させる効果を持つことを示したものである。麦門冬 湯で咳が消失した症例とプロトンポンプ阻害薬で咳が改善した症例がそれぞれ 3 名と 高率であることも興味深く感じた。常塚 (2010) は、登録期間を3ヵ月延長しArm 2に
2名が追加されたものであるが,結果は同一の有効性を得ている。 12. Abstractor and date
藤澤道夫 2010.6.1, 2011.1.14, 2013.12.31